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業務命令権
Q.職員に対し業務に関連する研修を受講するように指示を出したところ、特に理由もなく受講を拒否したいという申し出があったとき、業務命令としてもう一度研修を受講するように命じることが可能でしょうか。 A.労働者が、働くにあたってどのような義務を負うかは、それぞれの労働契約の内容によって決まります。 そして、労働者が、労働契約の趣旨と内容に従った労働を行う義務を、労働義務といいます。 合理性のある就業規則の規定は労働契約の内容になるため、これに基づく相当な命令であれば、労働者は従う義務が生じます。また、労働者の労働義務の遂行については、使用者は指揮命令をする権限があるとされ、これを労務指揮権と呼びます。 さらに、使用者には、労務指揮権を中心とした広い範囲での業務の遂行全般について、例えば健康診断の受診、企業秩序を維持するための不作為命令など、本来の労務の提供とは直接には関連はしない事項についても、労働者に対し必要な指示・命令を発する権限があり、これは業務命令権と呼ばれています。 使用者の有する業務命令権の根拠は、労働契約にあるとされていますので、業務命令が労働契約で合意されている内容の範囲内であり、さらに業務上の必要性や合理性の認められるものであれば、使用者は業務命令を発することができると解されています。 そして、直接に労働契約上の業務とは関連しないと思われるような事項でも、合理的と認められる範囲内での付随的な業務であれば、労働者は、正当な理由がない限り、業務命令に従わなければなりません。ただし、労働者の人格権を侵害するような業務命令や、労働基準法などの法律や労働協約に違反する業務命令は認められません。 したがって、就業規則などに、職員は会社の行う研修を受講しなければならない等の定めがある場合は、この規定を根拠に研修の受講を命ずることができます。 このような規定がなくても、使用者は労働契約上労働者に対して必要な技術等を修得させ、提供すべき労働力を良質化し向上させるため、研修への参加を命ずることができるとされます。 ただし、業務命令は労働契約の内容や就業規則に基づく合理的な命令であることが必要で、法律に違反したり、労働者の人格権を侵害したりしてはいけません。 使用者は、研修の内容、必要性、期間、場所、人選などについても十分検討し、業務命令を発する場合には、労働者に対し十分に説明するとともに、労働者が拒否している理由もよく聞いた上で、互いに理解し合えるよう話し合うことが大切です。 労働者が、正当な理由もなく適法な業務命令に従わないような場合は、業務命令違反や職場規律違反と評価されて、懲戒処分の対象となる可能性もあります。 しかし、その懲戒処分が命令違反の程度との関係で不当に重いと判断される場合は、処分は無効とされることもあり、また、懲戒処分そのものが労使双方にとって重大なことでもありますので、慎重な対応が求められます。 |