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 就業規則の周知義務違反と社員への適用

Q.就業規則の規定を基に、意に添わない配転命令を受けた場合、就業規則が社員に周知されていなくとも、就業規則に定めがある以上、社員はこれに従うしかないのでしょうか。
A.使用者が労働者に就業規則を書面で交付するなど、労働基準法第106条第1項に規定する周知手続を遵守していない場合、就業規則の効力は発生しないとされています。
 一般的に、労働条件は、法律で定められた最低基準を満たした上で、具体的には、使用者と労働者との労働契約により定められます。しかし、通常、使用者は、労働条件を統一的かつ画一的に決定するため、個別の労働契約を締結する代わりに、あらかじめ労働条件や職場規律に関する事項を定型的に定めています。
 このような定めは、会社に労働組合がある場合は労働協約によることもありますが、労働組合がない場合は、就業規則が労働条件等を定める唯一のものとなるため、たいへん重要なものです。
就業規則の法的性質について、判例では、就業規則は合理的な労働条件を定めている限り事実たる慣習として法的規範性を有するとされています。
 この考え方は、保険契約等で使われる約款理論(「契約内容の事前の開示」と「契約内容の合理性」を要件に契約としての拘束力を認める考え方)を労働条件を定型的に定めた就業規則の法的性質論に応用したものとして、学説でも支持されています。 このように、就業規則に法的規範性が認められることから、就業規則が合理的な労働条件等を定めている限り、労働者は就業規則の内容の知・不知や、これに対する個別的な同意・不同意の如何を問わず、当然に適用を受けるものとされています。
労働基準法第106条第1項に定める就業規則の「周知義務」が就業規則の効力発生要件であるか否かについては、判例、学説上見解が分かれていましたが、最近、これに関連した重要な最高裁判決が出されました。
最高裁は、「周知義務」について、「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する」として、同周知義務が 就業規則の効力発生の要件であることを明示し、労働者に周知させる手続が採られていることを認定しないまま,旧就業規則に法的規範としての効力を肯定し,本件懲戒解雇が有効であると判断した原審判決を破棄差戻しました。


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