| 労働慣行の破棄 Q.就業規則等には明確な規定がないものの、長年にわたり反復、実施されてきた労使慣行を、使用者が破棄するには、どのような方法があるでしょうか。
A.労使慣行には、労働契約の内容に取り入れられる効果、就業規則や労働協約の不明確な又は抽象的な規定を解釈するための基準となる効果、権利濫用の判断要素としての効果等の法的効果があります。 この労使慣行を破棄する方法には、労使の合意による破棄や、行われていた労使慣行が行われなくなる自然消滅、一方当事者からの告知があります。 労使の合意による破棄や、自然消滅することは稀ですので、実際に問題となるのは、一方当事者からの告知によりできるか、できるとすればその要件は何かということです。 学説では、労使慣行には期間の定めがないと考えられるため、期間の定めのない雇用契約や労働協約を参考とし、合意により締結された雇用契約や規範的効力のある労働協約でさえ一定の条件を満たせば解約が認められますので、労使慣行の破棄も合意解約に限られず、一方当事者からの告知によりできると考えられています。 また、就業規則の不明確な規定に具体的な意味を与えることが労使慣行となっている場合、就業規則の改定によってその変更ができるかどうかは、就業規則の不利益変更の問題と同様になると考えられています。 判例では、原則として許されないが、当該変更が合理的であるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解すべきであるとしています。 その合理性を考えるにあたっては、労働者が就業規則変更前に享受していた権利・利益の性質及びその内容、就業規則変更の必要性、変更内容、変更により労働者の被る不利益の程度、制度変更前の制度それ自体の合理性、不利益変更に伴う見返り措置の有無及びその内容、変更にいたるまでの使用者と労働者との交渉の経緯等諸般の事情を総合考慮すべきであるとしています。 |