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 会社再編に伴う労働契約

Q.企業合併や営業譲渡などで会社が再編された場合、従業員は従来どおりに勤めることができるのでしょうか。
A.企業は取巻く環境変化に応じ、組織形態を柔軟に対応させるために、企業合併、事業譲渡、会社分割、現物出資、事後設立、株式交換、株式移転などの手法により企業組織再編成が行われます。
これらの場合、従前の雇用関係が引き継がれる場合もあればそうでない場合もあるなど、契約関係によって形態は異なります。
 それぞれの法的違い等を整理したうえで、労働組合などを通じ、会社再編の今後の見通しや従業員の労働契約がどうなるかについて早期に会社と話し合いをもつことが必要です。

企業合併の場合;
企業合併は、A、B会社が合併してC会社を新設する新設合併とA会社がB会社に吸収される吸収合併がありますが、どちらにせよ新設合併設立会社ないし吸収合併存続会社が権利義務を承継するため、労働契約も当然に承継されることになります(会社法第750条、第754条)。
 もっとも合併の前後に、労働条件の統一や余剰人員の整理の問題等に対応するため、労働協約や就業規則の変更、整理解雇等が行われることも少なくありません。

 事業譲渡の場合;
事業譲渡は、法的には事業を構成する権利義務の個別的な承継によって行われます(会社法第467条)。そのため、当該事業に従事する労働者の労働契約は、譲渡の当事者である2つの企業間で労働契約譲渡の合意がなされ、さらに労働者の同意(民法第625条)があってはじめて承継されることになります。
 事業を譲渡する企業から譲受する企業に転籍する労働者の範囲は、両企業が選択でき、労働者も転籍することに拒否権があるということになりますが、事業の包括的な承継がなされているような場合は、労働者全員の転籍を黙示に合意していたと認められる場合、また労働者も転籍に黙示の承諾を与えていたと認められる場合もあります。
 なお、事業譲渡によって労働契約が承継されても、具体的な労働条件の内容は譲受企業と労働者間の合意によるものであり、譲渡企業の労働条件が当然に承継されるわけではないことに注意が必要です。

 会社分割の場合;
 会社分割とは、会社の事業の全部または一部を分割し他の会社に承継させる制度で、分割する事業を既存の他の会社に承継させることを吸収分割(会社法第757条)、新たに設立する会社に承継させることを新設分割(会社法第762条)といいます。
 会社が組織の再編成を行うことを容易にするために、「商法等の一部を改正する法律」が平成12年5月に成立し、平成13年4月に施行されました。
 会社分割には、営業の全部、または、一部を継承する会社の発行する株式を、分割する会社に割当てる「物的分割」と、分割する会社の株主に割当てる「人的分割」があります。
 会社分割は、吸収分割の場合は分割契約書、新設分割の場合は分割計画書を作成し、株主総会の特別決議による承認を得ることなどによって行われます。その際の権利義務の移転については、分割契約(計画)書に記載されれば一括して当然に新設会社に承継されるとの部分的包括承継の考え方がとられています。
 ただし、労働契約の承継については、分割契約(計画)書を会社に自由に決められると労働者にとって不利益が生じる可能性があることから、平成12年の商法改正と同時に労働者の保護の観点により「労働契約承継法」が制定されています。
 この法では、会社は会社分割にあたって事前に労働者側へ通知すること、承継される事業に主として従事する労働者は分割契約等の定めどおりに承継会社等に承継されること、承継されることによる不利益及び承継されないことによる不利益が生じる一定の場合には労働者は異議の申し出ができること、労働組合員が分割先の会社に承継される場合、労働協約については分割先の会社との間でも同一内容の協約が締結されたものとみなされることなどが定められています。
 なお、会社分割の場合は、転籍に伴う民法第625条の労働者の同意は必要とされません。また、承継会社に承継された労働契約は、その内容である労働条件も包括承継の考え方からそのまま維持されることになります。


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