| 使用者の配転命令とその限界 Q.就業規則に、会社は業務の都合により従業員に対し職種職場の移動及び転勤を行うことができるという規定がある場合、従業員の同意を求めずに一方的に配置転換を命じることができるか。 A.配置転換は、同一企業内で、労働者の職種、職務内容、勤務場所について、長期にわたって変更する人事異動のことをいいます。 配置転換は、従業員の補充、定期的人事異動、余剰人員の雇用調整などを目的として行われます。 就業場所や職務を限定する労使の合意がなく、就業規則や労働協約に、業務の都合により出張、配置転換、転勤を命じることがあるなどの一般条項があれば、使用者に配置転換を命ずる権限があるものと解されます。 ただし、使用者の配置転換命令権は、無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することは許されません。 ・労働契約で、職種を限定して採用された場合、他の職種に配置転換するには、本人の同意が必要です。 ・勤務場所を決めて採用されている場合、住居の変更を伴うような勤務地の変更には本人の同意が必要です。 ・国籍、信条、社会的身分を理由とする不利益配置転換は、労働基準法として無効です。 ・女性であることを理由にした差別的配置転換も男女雇用機会均等法違反として無効です。 ・正当な労働組合活動を理由とする不利益配置転換や、組合への支配介入にあたる配置転換は、労働組合法7条の不当労働行為として禁止されています。 就業規則に配置転換の規定があっても、使用者が、労働者を配置転換できるのは、労働契約の予想する合理的な範囲内の配置転換のみです。 合理的な範囲を超える場合には、労働者の同意を得なければなりません。 また、配置転換が、労働契約の範囲内であり、不当労働行為など法令によって禁止されている行為にあたらない場合でも、配置転換命令権は、労働者の利益に配慮して行使されるべきであり、濫用してはなりません。 ・業務上の必要性がないものや、不当な動機、目的による配置転換は権利濫用として無効とされます。 ・業務上の必要性が認められる場合でも、必要性の程度と、配置転換によって労働者が受ける職業上・生活上の不利益を比較考量して、後者が著しく大きいときは、配置転換命令が無効になります。 |