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 始末書の提出

Q.従業員に対して始末書の提出を再三求めても提出を拒否したとき、始末書不提出を理由に懲戒処分を行うことはできるか。
A.始末書は、業務などにおいて過失や規程違反を犯した者が、事実関係を明らかにするとともに謝罪し、再発させないことを誓約するための書類です。
 損害賠償の問題などの法律問題になる前の段階で円満に問題を解決しようとする場合が一般的で、一定のけじめはつけてもらうという場合にとられる措置です,
 懲戒処分には、基本的に、戒告、減給、出勤停止、懲戒解雇の4種類がありますが、この内で、戒告(譴責・訓戒といわれる場合もあります)において、始末書の提出が使用者から要求されるのが通常です。
 戒告(譴責・訓戒)においては、通常、労働者は、直接的には何らの具体的不利益を受けません。
 ただし、始末書を書くような不始末ばかりやると使用者側からみてマイナス評価となることは当然のことで、昇級や昇格や賞与の支払に関して不利益な査定を受けることはありえます。
 実際に不始末をした場合、使用者が始末書提出を要求することは当然であり違法ではありません。
 ただし、この場合職務規程に始末書の提出を定める条項が必要です。
 提出命令には、懲戒処分がなされた後の戒告(譴責・訓戒)としての始末書提出命令の場合と、懲戒処分がなされる前の業務命令による始末書提出命令の場合があります。
 始末書を実際に提出するかどうかは労働者の意思に委ねるものとされ、法律的には、労働者が提出要求に応じるかどうかは任意であるとされています。
 そして、始末書提出要求に応じなかったからといって、その不提出を以て、懲戒処分の理由とすることはできないというのが通説的考え方です。
 しかし、反対に、不提出をもって懲戒処分の理由とすることもできるとした裁判例もあります。
・懲戒処分である戒告(譴責・訓戒)としての始末書提出命令を労働者が拒否した場合の懲戒処分について
 始末書提出を命ずるに至った原因の行為に対して、当該始末書提出拒否をもって、新たに懲戒処分を下したり、前の処分を取り消してより重い処分をなすことは、一事不再理の原則からいって許されません。
 また、懲戒処分としての始末書提出命令は、業務命令と解釈することはできませんから、この始末書提出拒否を業務命令違反としてみなして新たな懲戒処分をくだすことはできません。
・業務命令による始末書提出命令を労働者が拒否している場合の懲戒処分について
 裁判例には、肯定したものと否定したのもがあります。
・肯定説に立つ判例;
 業務に関連する始末書の提出は労働者の義務と解すべきであるので、就業規則の規定に基づき懲戒処分ができるとするものです。
・否定説に立つ判例;
 自己反省や謝罪はそれ自体、本人の意思に基づくほかない行為であって、個人の意思の自由を尊重する現行法の精神からいって、自己反省や謝罪に応じない者に対し、その就労を拒否することは、これを間接的に強制する結果となることから認められないとするものです。


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